※残念なかんじにえろい 「んっ……ふ、」 押し付けられた唇は離れることを知らないように休む間もなく私に与えられる続ける。ふと彼が唇をずらすその刹那、漏れて出るくぐもった声は紛れもなく私のもので、けれどそれに顔を赤らめるほど慣れてないわけでも幼いわけでもなかった。しかし慣れてるとはいえこう長時間唇を合わせていれば息苦しくなるのも当たり前で、鼻で息をしているといえど私の酸素量はそろそろ限界を告げようとしている。背中は柔らかいスプリングであるため痛みを感じることはなく、けれどその柔らかさが逆に酸欠で朦朧としてきた頭をゆらゆらと揺らした。酔いそう、と苦しくなりながら思うがそれは朦朧としてきた頭にか、それとも熱烈なキスを絶えずしてくる彼にか。どちらにせよもう無理だ、そう思いながら少し長い襟足まである髪をゆるく引っ張ると、土方はそれに気付いてやっと唇を離してくれた。 「はっ、はぁっ……さ、酸欠で私を殺す気か……!」 「悪いわるい」 キスをされる毎回のように言っている気がする、そう低い声で告げると苦笑いを零す土方はまるで私をなだめるようにこめかみに触れるだけのキスをした。そんなのに騙されてたまるかとじとりと彼を睨むと再び土方は苦笑を漏らしてスリ、と頬を撫でてくる。それにあまい痺れを感じつつ、きゅっと目を瞑ると乾いた笑みが聞こえた。思いっきりあやされていると感じるが、それを言及するほど空気を読めないわけではない。ちらりと脳裏をかすめたのは明日の曜日と大学の時間割、それは土方も同じだったようで「明日は水曜だよな、」と確認の言葉が聞こえてきた。 「うん。わたしは2限目から講義あるよ」 「俺は午後からだな」 「……自分は午後からだからって、きついのはヤだからね」 「……努力する」 はたして努力をしてくれるかどうかも怪しいところだ、なんてことを呆れつつ思いながらベットの近くに小さく灯してあったスタンドの灯りを手を伸ばしてパチンと消した。毎回それが始まりの合図で、そして今回も例外はなく辺りが闇に包まれた途端土方は私の喉に顔を埋めてくる。それに「ん、」と短く声を漏らしながら彼の首元に手を巻きつけた。いつもと同じ体勢、いつもと同じ始まり。 大学に上がると同時に彼と同棲しはじめてもうすぐ半年経つせいか、この行為にも随分慣れてきたものだと思ってしまった自分に恥じるべきなのか後悔するべきなのか。そう考えている合間にも土方は下にさがって私の鎖骨へと舌を這わせていた。くすぐったい感触は喘ぎ声というよりも笑い声を漏らさせ、それに気付いた土方はふと顔を上げる。闇の中なので表情はよく分からないが、それでも雰囲気でこんな顔をしているだろうなと予想はついた。 「……呑気だな、オイ」 「や、だって、こそばいんだもん」 「そんなこと言ってられるのも今のうちだ」 「ん、やっ……あぁ」 下着の上から胸を揉まれてつい甘い声を漏らせば、ほれみろというような土方のくつりとした笑みが聞こえる。それに逆らえるとはもう思っていないので反論もなにもせずにいると、彼にはそれがつまらなく感じたのか呆れたような溜息を漏らして「背中あげろ」と囁いてきた。素直にそれに従うとシャツの中に冷たい手を滑り込ませて背中に回すと後ろのホックを外される。瞬時に得られる解放感はこそばゆく、身をよじらせると彼はそんな私など気にせずに下着もろともシャツを脱がせた。肌寒い空気が肌に触れるが暖房がついているため震えるほどではない。 「ひぁっ、……ちょ、んっ」 ザラリとした舌の感触が胸の谷間の近くを舐め上げる。思わず漏らしてしまった声にご満悦なのか、土方は続くように胸へとその舌を這わせた。もう好きにするがが良いさ、と半ば諦めたように全てを彼にゆだねると土方は片手で胸を揉みほぐしながら私の唇に彼のそれを優しく押し付ける。始めは啄むようなキスも回数を重ねるごとに深くなり、舌を絡ませながら何度も何度も角度を変えてお互いに唇を貪った。 「ふ、……んんっ」 「……はぁっ、」 私も土方も苦しそうに息を紡ぐというのにそれでもなお唇を合わせるという行為を止められないのは人間の本能がそれを求めているからか。唇を合わせ互いに貪るだけで得られる快感は身体というよりも心を満たしてゆき、けれどそれは確実に私の下半身をも濡らしていた。胸を弄ぶ土方はキスで塞がれた私の唇から時折漏れる喘ぎ声をせがむように愛撫を繰り返したのち、そこをひくひくと痙攣し始めた私に満足してから断りもなく部屋着のジャージを脱がせる。難無く下着も取っ払ってしまうと露になったそこに慣れた手つきで指を這わせ、それにびくりと身体が反応すると土方の驚いたような声が聞こえた。 「いつもより濡れてるな。生理前か?」 「で、デリカシーのないやつめ……!先週終わったばかりだよ!」 「ただいつもに増して感じてるだけならいいが。どうした、体調悪いのか?」 「……、……」 「答えないなら前者と見なして進めるぞ」 「……ご勝手に」 どうせ前者だろう、恥ずかしながらもそれは分かりきっていたので羞恥のあまりに腕で顔を覆う。その瞬間、つぷりと差し込まれた土方の指を感じてあまい声を出すと共に腰を軽く浮かすと厭らしい水音が聞こえた。それが自分のものだと分かってはいるが認めたくないのは仕方ないだろう、そう考えているうちにも私の中で動かされる彼の指は本数と勢いを増している。卑猥な音が聞こえるほど潤っていたらしい私の中は土方に引っ掻き回されるほどどうにかなってしまいそうで、抑え切れないあまい声を絶え間無く漏らした。そして慣らし終えたのか土方がその指を私から抜こうと手を引いた、その時。小さな違和感に気付く隙もなく耐えがたい痛みが襲ってきて思わずシーツを握りしめた。 「は、っ!ふ、あぁ、」 「稀世?どうした?!」 「うぁっ、は、あ、あし……!」 「……脚?」 「つ、つった……!ふくら、はぎ、うっ」 急にやってきた痛みはこのムードをぶち壊すのには十分で、しかし私はその苦しい悲鳴を止めようとは思わなかった、いや止めることができなかったのだ。昔から思い出したようにたまに急につり始めるそこの痛みは半端なく、私は涙さえ浮かべながらただ痛みに悶え堪える。身体に力を入れると下腹部に溜まっていた濁った液体がどろっと出てきたがそれを気にする余裕などなかった。それほど痛みに堪えることに必死だったのだ、私は。 「うっ、はぁっ、は、はぁ……」 「落ち着いたか?」 「う、ん……まだ脚に違和感あるけど、とりあえず」 「貸してみろ、揉んでやる」 ぐてっと力を抜いた私にそう告げると、土方は私の足元に回り込んで先程つった左足のふくらはぎをゆっくりマッサージし始めた。暗闇の中とはいえど目が慣れてきたのだろう、彼は少し痛いほど的確に私のふくらはぎを揉みほぐしていく。ほう、と疲労と気持ちよさのあまり小さく溜息を零すと土方はその溜息の中に滲む私の気持ちを感じ取ったのか苦笑を漏らしながら言った。 「まだ入れてないってのに、なに一人で疲れてんだよ」 「いや……ふくらはぎつるの、本当に辛いんだって……」 「すごい嬌声上げてたぞ」 「……」 「快楽に堪える声もいいけど痛みに堪える声もいいと今回学んだ」 「……学習できたことに感謝しなさい」 「はいはい、じゃあご褒美といくか」 「え?っん、……ふ、」 十分にほぐされたふくらはぎから手を離した土方はそのまま再び私の唇を塞いだ。間もなく入れられてきた舌に私のそれを絡めると、まるでよくできましたとあやすように頭を撫でられる。そしてその手は肩を撫でて胸を掠め、腰に触れてから私の中への入り口を撫であげた。 「ふっ、……やぁ、」 「嫌、じゃねぇだろ」 キスの合間に思わず漏らした声に答えるのは楽しそうな土方で、時間が経ってしまったため再び慣らすのだろう、先程と同じようにそこに指を突き入れた。それだけで素直にびくんと揺れる身体に彼は笑みを漏らしてから再び唇と私のそれを合わせる。一通り深くキスを交わしそれと同時に中を掻き乱され、びくびくと震える身体は寒さのせいではない。ふと唇を離されると今度はなにを思ったのか額にキスを落とされた。 「疲れてるか?」 「……さっきので、大分」 「ま、遠慮なんてしねぇけどよ」 「な、なら聞くな!」 彼のくつりとした笑みが聞こえる。土方は空いているほうの手で頬を撫で、スルリと耳の近くの髪を掻きあげた。ふと彼の息遣いが耳元で聞こえたかと思うと覚悟しとけ、という土方のあまい囁きが聞こえる。それに溶けてしまいそうな痺れを感じて思わず身体に力を込めると、彼の指を締め付けたのか苦しそうな息遣いが聞こえた。自業自得だ、馬鹿。そう思いながらもその苦しそうな息遣いに興奮してしまう自分に呆れないわけにはいかなかった。馬鹿は一体どっちなのだろうか。 融解の中
110201(あーもう恥ずかしかった!← ちーちゃんからのリクエストでした。エロいの書いてよと言われて思いついたのは、これからってときにふくらはぎつって体力消耗するヒロインとその痛みに耐える声が好みだと気付いた土方、というものだった。私の頭はもうどうしようもないのだろうか。(…) ふくらはぎつったときってとてつもなく痛いと思うのですが、そもそもふくらはぎなんてつらないよ!とよく言われます。私だけなのかな…。ふたりとも同じ高校出身で、土方が卒業の時に告白してそれから付き合い始めて大学進学と同時に同棲、というつもり。さすがに恥ずかしいからこの先のシーンとかは無理だった、というか喘ぎ声こんだけでも私には精一杯なんだぜ…!表に出すか相当悩んだけれど出しちゃえ。←) |