![]() 「何を言おうと、ブラックはスリザリンよりもあの忌まわしきグリフィンドールを選んだ最低な裏切り男だわ!」 「でもブラック家の血筋を引いているご子息だよ?の大好きな純血の」 「くっ、それだけは、本当にそれだけは魅力的だわ……!マグルのものが混ざっていない魔法族だけの純血!あぁっ、なんて高潔!素晴らしいの!」 「……私、たまにを色んな意味で尊敬するよ」 「ねぇっチェルシーもそう思わない?純血の血ほど麗しく、尊いものなんてないわ!」 毎度のこの私の態度に友人達は苦笑を漏らすばかりであるが、彼女達はもっと純血であることを誇りに持ってよいと私は思うのだ。忌まわしい穢れた血が微塵もない血筋、それがどれだけ尊いものであるか彼女達はまだわかっていない。私の生家である家も歴史に多く名を刻んでいる誇り高い純血一族だ。無論、私は自分のこのファミリーネームに常に誇りを持って名を名乗っている。そして今や魔法界で純血の血筋を持つ一族は少数で、ほとんどがマグルとの混血になっているのだ。そんな中純血を守り貫いている我等が祖先、そして今この時代に実在する私たちがどれほど尊い存在であるか。もったいないと思うが、彼女達に理解できなくても私が理解しているのだからそれでいいのだ、きっと。 純血の話題で気分が高揚していると、すぐそばの友人が私の後方を見つめながら「あ、」と短く声を漏らした。私は何事だろうかと嬉々とした様子で振り返ったのだが、すぐさまその表情を掻き消すことになる。そう、私の背後に居たのは数分前まで話題に上がっていた忌まわしき人物だ。 「おいおい、にとっての俺って血液しか取り得がないのか?まぁ昔っから知ってたけどよ」 「出たわねシリウス・ブラック!つい先日私の前に二度とその顔を出さないでと言ったばかりでしょう!そして私の名前を気安く呼ばないでと何度言ったら分かるのよ!」 「いや、だって俺の話題だろ?なぁチェルシー」 「……話を振らないでくれる?の火花を被るのは御免だわ」 つれないなぁお嬢さん、そうシリウスににこやかな笑みを向けられてチェルシーは喜んではいないものの、そう嫌がっているようにも見えなかった。チェルシーは手を振ってシリウスの視線を私へと促すが、私はブラックの顔さえ見たくなどない。せっかく純血の話題で気分が高揚していたというのに、と半分苛立ちながら「ブラック!」と目前で飄々としている男の名を呼んだ。 「目障りだわ!今すぐ視界から消えて頂戴!」 「元々長居するつもりなんてねぇよ。ていうかが消えれば済む話だぜ?」 「突然乱入をしてきた貴方がここを去るべきだわ!そして気安く呼ばないでと言っているでしょう!」 「おーコワ。御機嫌よう、ミス・?」 「御機嫌よう!」 ひらひらと手を振りながら去っていくブラックを忌々しげに見送りながら、私を嫌っているであろう彼は一体なにをしにわざわざ私のところまで来たのだろうかと、そんなことをふと思った。 |