![]() そこでふと思い出した。いつものメンバーでこっそりと制作を進めている、地図の存在。まだ製作途中で完成はしていないものの、おおまかな作業は済んでいるため使おうと思えば使えるかもしれない。つい先週、地図上にリアルタイムでそこにいる人の名前が分かるという魔法をかけ終えたばかりだ。ゴーストが地図上に出てくるかは分からない。でも、もうこれしか手段は無いとそう思った俺は、それを取りに行くべくグリフィンドールの寮に向かって走り出した。 自分の部屋につくとジェームズのベットの上に放ってあった白い羊皮紙を手に取り、地図に杖をあてると早口で呪文を唱える。するとみるみるうちにホグワーツの校内図が浮かび上がり、俺はジェームズのベットだということも気にせずその場で地図を広げた。そしてひたすらの名前を探す。もしゴーストの名前自体が出てこないのなら、もう手の尽くしようが無い。そんなことを思いながらやや諦め半分で地図上の名前をひたすら眺めていると、よく見知った名前を見つけた。そこに書いてあった名前は、・。場所は、湖のほとり。 「あいつ、こんなところに……っ!」 俺は地図もそのままにすぐさま部屋を飛び出して、頭の中で湖までの最短経路を考えながら2段とばしで階段を駆け下りた。誰が彼女が湖のほとりにいるなんて思うだろうか。そんなところにいるなんて思いもしなかったので探そうだなんてこれっぽっちも思わなかった。唇を噛みながら廊下を走り抜ける。急がないといけないような気がした。彼女になにがあってこんな嫌な予感がするかは分からないのだけれど、一刻も早くに会わねばと、そう急かされているような気がした。 湖のほとりまで全力で駆けていくと、そこには膝を抱えてぽつんと座り込んでいるがいた。もしかしたらこの数日、彼女はずっとここでそうしていたのかもしれない。そう思わされるほど、彼女はなぜかそこに溶け込んでいるように感じた。 「!」 名前を呼ぶと、びくりとは震えて慌ててこちらを振り向いた。その瞳は驚愕に満ちており、口が「どうして、」と動いたのが見える。俺はずんずんとの傍まで向かうが、は俺との距離が半分くらいになるとハッと思い出したように「こ、来ないで!」と叫んでふらふらと立ち上がった。無論、俺は歩みを止めることなんてなく。少しずつ後ずさりするを見つめながら、それでも着実に彼女との距離を縮めていった。 |