「シリウス、明日ゾンコに買出しに行かないかい?そろそろ悪戯用品が尽きてきた頃だし」

「あー、悪い。明日は彼女と予定あるから無理だわ」


あぁ、例のゴーストちゃん?とジェームズに言われてそれに短く返事を返すと、なら仕方がないねとジェームズは返して今度はピーターにも同じことを尋ねていた。特に予定はないと告げるピーターに続いてリーマスは、とジェームズは尋ねるが、リーマスは「ごめん、僕も彼女と用事」とあっさりと断る。しかし俺はそのリーマスの返事にぐるりと顔を彼の方へと向けた。見ると、ジェームズとピーターも不意打ちをくらったような顔をしている。


「リーマス、お前彼女って、いつの間に?」

「言ってなかったっけ?先週だけど」

「聞いてないよ!相手は?」

「4年生のシェリー・レディスタン」

「あぁ、あの!リーマスなかなかやるねぇ!」


今リーマスが告げたシェリーは同じグリフィンドール寮生でひとつ年下だが、美人で秀才でおもしろく、気立てがいいし面倒見もよい、出来た人物である。俺は全く興味が無いものの、ひっきりなしにラブレターが届くやら告白が耐えないやら、しかしその全てを断っているやらいろんな噂は聞いていた。そんな彼女とリーマスが付き合っている。一体リーマスはどんな手を使ったのだろうかと、何度か話したことのあるシェリーを思い浮かべた。なにもシェリーも、こんな男に惚れなくてもいいだろうに。


「ちぇー、じゃあ明日のこっそりホグズミート行きは僕とピーターだけかぁ」

「ごめんね」

「悪いな、頼んだ」

「あーはいはい、恋人持ちの2人はどうぞ思う存分ラブラブしてくるがいいさ!」

「ジェームズ、リリーがなかなか振り向いてくれないからって自棄にならないでよ……」

「なってない!」


ぼすんとベットにダイブするジェームズを尻目に、ついに明日が日曜日かと思う。の命日。彼女は毎年、ふと死んだときの記憶を思い出すと言っていた。そしてそれを思い出すのが怖いと。一日中傍にいると言っておきながら、果たして俺にできることはあるのだろうかと考えつつベットにもぐりこむ。

出来ることってなんだ。俺にしかできないこと、俺だからこそできることってなんだ。それをもんもんと考えていると、やがて気付かないうちに深い眠りに落ちた。