Thanks, theer anniversary!


初めましての方もお久しぶりですの方も毎日来てくださっている方もこんにちは! 2012年3月8日で、「きみとほし」も三周年を迎えることができました。 これもすべてサイトに足を運んでくださるみなさまのおかげです。 ありがとうございました、そしてこれからもよろしくお願いします…!

というわけでSSではありますが、このために書き下ろしたお話を置いておきます。 少しでも楽しんでいただけたら幸いです。リンクのオンマウスでお相手表示です。 ちなみにお題はすごくカッコよくてシリアスちっくなんですけど、内容はそんなことないです。すみません。 これからも結葵と「きみとほし」をよろしくお願いします!

お題は1204さんからお借りしました。ありがとうございます。


Love is awfully violent!
01:愛は「死」によって証明出来る
02:愛と憎しみをイコールで結べ
03:君は言った「愛ってとても残酷」















































愛は「死」によって証明出来る


「例えば、私が死んだとしたら」
「…縁起でもないこと言うな」
「だから、例えばだって。…そのときになったら、山崎くんは泣いてくれる?」

が急に話を始めるのには慣れているけれど、今回のは内容が内容であるだけに少し戸惑った。 は俺の方などちっとも見ずに、窓の外へと視線を向けている。顔、見せてくれないのか。そう思うけれどそれを言葉になんて一生できそうになかった。

「…泣かないだろうな。少なくとも、君の前では」
「隠れて泣くんだ?」
「からかうな」
「ごめんごめん。…そうか、見えない場所で泣いてくれるのかぁ」

ちょっと、うれしいな。はそう照れたように呟いてうなじを掻いた。 俺はそんなからふと視線を外し、じゃあ君はどうなんだと尋ねる。俺が死んだら、泣いてくれるか。

「…泣くよ。大泣きする。なんで死んだんだって、問い詰めるように喚くよ」
「死人にか?」
「うん。きっと俺は、後悔しか感じてないだろうから」

まぁ、それほど愛してるってことだよ。最後にそれだけ呟いては部屋を出ていく。 その呟きを耳にして慌てて振り返れば、そこには彼女のやりかけの書類の束だけがひらひらとはためいていた。逃げたな。


Love is awfully violent!
















































愛と憎しみをイコールで結べ


さん」
「はい?…ぎゃっ?!」

ビジョップに呼び止められて振り返ると、途端に額にパチンと衝撃が走る。 デコピンされたんだと一瞬で理解するけれどその理由が皆目見当もつかず、私は驚きと戸惑いのせいで一歩後ずさった。 な、なんですか、とビジョップに警戒しながら呟くと彼は溜息をついてやれやれといったように俯く。なんなんだ。

「働き過ぎです。さん、寝てないでしょう?」
「…寝てますよ。ビジョップは知らないだけで」
「ほう、強気な発言ですね」
「……失礼します」

このまま長話になると面倒事になると瞬時に感じ取った私は早々と話を切り上げてその場を去ろうとするが、背を向けた途端にうなじの衣服を掴まれて止められた。 まるで首根っこを掴まれた猫の気分だ、と思いながら振り返る。 私の苛ついたような表情を見て、ビジョップは少し眉を動かしたけれどそれ以外の変化は見られなかった。離してほしいんですけど。

「まるで、他のことを忘れようとしているかのように見えますよ」
「…遠回しなんてビジョップらしくないですね」
「じゃあ直接。…ルークのことを、忘れたいんですか」

ビジョップの表情は変わらない。そして私の考えも変わらない。答えはもう、とっくの昔に出ていた。

「忘れるわけありません、私に仕事全部押し付けてすたこらさっさと去って行った人ですからね?もう呪いたいくらい憎いです。 …一生、忘れてなんてやりませんよ。そうしたら、彼の行動は全て…無意味になってしまう」
「…随分と愛のこもった憎しみですね」
「知りませんでした?愛と憎しみはイコールで繋がってるんですよ」
「初耳です」

そこまで告げるとビジョップは私の衣服をぱっと離してくれた。 開放された首元にふうと息を吐きながら、最後にちらりとだけビジョップを振り返る。 その視線に気づいたビジョップが、愛してたんですか、とぽつりと呟いた。 私はそれに笑みだけを返すと、そのまま視線を戻して研究室へと向かう道を辿っていく。愛してた、じゃない。いまも、ずっと。


Love is awfully violent!
















































君は言った「愛ってとても残酷」


カラン、とスプーンがマグカップに当たる音がした。 目の前のシリウスは視線をマグカップの中に落としたまま、私のほうなどちらりとも見やしない。 怒ってなんかいないのに、と思いながら私はマグカップの中のカフェオレを飲み干した。馬鹿だなあ。

ついいましがたやって来たシリウスがなにをしていたのか私は知っている。 シリウスがいまどんな気持ちでここにいるのかも、知っている。だからこそ私はいつもと変わらない表情を浮かべることができるのだ。

「愛ってとても残酷。とけない魔法をかけられたみたい」
「…、」
「…なんて顔してるの、シリウス。このくらいでシリウスのことを嫌いになんてならないよ」
「………は?」

しょげていた表情が一変して、シリウスは間の抜けたような顔になった。 ハンサムがだいなしだなぁと思いながら手を伸ばしてシリウスの頬をさらりと撫でる。すべすべだ。

「ただ、次は許さないかもね?」

にこりと笑みを浮かべながらシリウスの頬に微かに残っていたグロスをつと拭い取った。 透明なピンク色のそれからは、独特な化粧品の匂いがする。私もつけようかな、と呟いたら苦笑を浮かべながらやめてくれ、と言われた。なんだと。

「冗談だよ」
「だろうな」
「……ねぇ、別れる?」
「話が飛躍しすぎだっつーの!!」


Love is awfully violent!



(thanks,もずねこ)